2001年 いだきしんエチオピアコンサート「天命」

 2001年11月10日、エチオピアの首都アディスアベバにて歴史的なコミュニケーションイベントが開催され、アーティストの いだきしん氏(国籍日本)は何種類もの楽器を駆使し、事前に作曲された曲を演奏するのでなく、聴衆、文化、歴史、自然の内なる美を感じ取り、それを即興的に表現しました。
 いだきしん氏は会場にいる聴衆だけではなく、ホームページを通して参加する世界中の人々のメッセージも表現していきました。インターネットを通じて送られてきたメッセージと生命感応し、コンサート会場の観客との直接的交流とを、音楽と映像で表現することで、新しい時代(cosmic manifesto)をともに経験します。このプロジェクトのために設計制作された全く新しい音響、映像システムと衛星放送、インターネットが世界規模での展開を実現。イベントの模様はテレビ放送とインターネットストリーミングによって世界中に配信され、メッセージと共にDVD等のマルチメディアの形で国際的に出版されます。


  • 出演:いだきしん 他(アディスアベバシティーホール、ハガルフカルシアターのエチオピア民族舞踏グループ)
  • 日時:2001年11月10日
  • 主催:「天命」 Cosmic Manifesto コンサート実行委員会(エチオピア情報文化省/エチオピア外務省/アディスアベバ行政府/エチオピア関税庁/エチオピア観光庁/エチオピア電信電話公社/エチオピアテレビジョン公社/ワルタ情報センター/エチオピア商船公社/エチオピア航空公社/在本邦エチオピア大使館/NPO高麗/NPOいのち)
  • 素材協力:独立行政法人 通信総合研究所
  • 会場:エチオピア、アディスアベバ、メスケル広場
いだきしんエチオピア「天命」コンサート主旨書



子の曰わく、吾れ十有五にして学に志す。
三十にして立つ。四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。六十にして耳順がう。
七十にして心の欲する所にしたがって、矩を踰えず。
金谷 治 訳「論語」岩波文庫


 エチオピアのゴデで出会った飢餓に瀕した子供たちの美しい大きな澄んだ瞳、共にありたい人の命の美しさに触れた。
 優しく開かれた心、果てしなく広がる空間と通じる命。悲しみを内に未来に向かう命。他者の命を称え、交わりを喜び輝く命。  見られた身体は自由を奪われ、管理され、苦悩という心と、悪しき邪な心を生んだ。 見えることが全てに優先し、細かく分けられ、全てが理解可能だと思われた現代は矛盾と混沌に喘ぐ・・・。今までの意識や、精神、言葉では未来を創る本質を表現することは到底不可能です。
 しかしながら、見えない時空と、見ることができない体内の奥と交わりながら、一人一人の新しい精神の覚醒の時を待つ。過ぎた時と溶け合い、見えない未来に向かう精神。体内から溢れるエネルギー。
 人々、民族は未来に通じる尊い過去の記憶を取り戻し、人と人、民族と民族との内なる交わりが未来を創造する。人類が生きられる未来に導く逞しい精神。人間の本質的な叡智、寛容、創造、信頼、尊厳、希望、幸福の日々。
 今こそ、見えない豊かな体内を、能く感じることが急務と考える。しかし、もしも絶望を感じたら、もしも恨みで満たされていたら、もしも不安を感じたら、それでも、これら「もしも」の奥に、健やかに輝く命を発見するでしょう。
 いだきしんは、幼少の頃より、生きることの不安と病の日々を過ごす。中学以来、数度の死の淵で見えない体内と他者に感じた優しい命、光。  33歳の時、体内と空間からのエネルギーと交わり、高熱とともに急激に身体の変化が起こる。変化は繰り返し、やがて、それまでとは全く違う人々との出会いが始まる。体内環境の変容が人生全般に本質的に重要な働きがあることを悟る。同時に、人、自然と体内で深く感応する体質に変わる。
 体内は自然空間と自由に境なく、広大な宇宙内でつながり、個性、創造性の源となる。人、自然と一体化、体内との交流を通して互いに変化、成長し育まれる人類共通の愛、健康。身体とそれまでの精神の境界は解消され、融合した全く新しい「精神」の誕生。
 これら一連の命の過程をピアノ、シンセサイザー等で即興演奏します。
 天命を知り、生命エネルギーに満ちた命は、直観、知恵、創造、新しい秩序の宝庫です。

前駐日エチオピア特命全権大使 マハディ・アハメッド・ガディット氏メッセージ(2001/8/22)

 世界規模のS.T.コンサート(S.T.はSaito Tadamitsu と Sensitivity Training の意味)が、斎藤忠光氏と高麗恵子氏の、洞察力に富む懸命なリーダーシップのもとに組織された「天命」実行委員会によって、2001年11月10日、ついに私の故郷であるエチオピアにて行われることとなり、こんなに嬉しいことはございません。
 オーディオ・ビジュアルなパフォーマンスが即興形式で、アディスアベバの有名なメスケル広場に集まった地元の数多くの観客・聴衆をダイレクトに包み込んでいくことでしょう。エチオピアの一流の民族音楽や民族舞踏のグループがこのイベントに参加する予定です。
 何ヶ月か前、私は東京で行われた斎藤氏の演奏を見て大変喜んだのですが、人類と宇宙とをしっかりと結びつける内なる宇宙エネルギーの表現に大変感動致しました。私は、このダイナミックなエネルギーは、完全に表現された時、あらゆるこの世的な境界、民族、宗教、政治的な境界を越えるだろうと確信しました。
 最後に、古い歴史と豊かな文化遺産を持つこの国の、目を見張る美しさを明らかにするこのコンサートの実現のために一生懸命働いている方々に心から感謝の意を表したいと思います。更に、このコンサートは私達の国、エチオピアと日本の二国間関係をさらにより良いものにしていくことに貢献するのです。