「S.T.3 森林は愛のフィールド」斎藤忠光コンサート


1993年6月12日、両国国技館にてS.T.3「森林は愛のフィールド」斎藤忠光コンサートを開催する。 世界65カ国の国家元首はじめ各界の指導者から300通の支援のメッセージが寄せられる。


  • 出演:いだきしん(斎藤忠光)、Darol Anger (violin)、弘前ねぷた太鼓
  • 日時:1993年6月12日
  • 場所:両国国技館
  • 主催:S.T.3 実行委員会/実行委員長:高麗恵子
いだきしんコンサート「S.T.3 森林は愛のフィールド」主旨書

S.T.3 森林は愛のフィールド コンサート主旨


 縄文時代の古から、日本人のたましいは、森林の中で育まれてきました。生命力豊かな地で人々は、エネルギーに満ちた逞しい体質を得たのです。森林は人間を育てた生命体であり、文化の大本です。
 現代社会は、一人一人の生命と同じに大切な森林を過剰に破壊しながら成立しました。森林の破壊は、世界中に及び、「豊かな社会」をつくる一方で「貧しい社会」をつくり、このまま続けば破局を迎えるという、「破局のシステム」の中で生きています。今、生きるために、子孫の生きる未来を奪い、犠牲を強いている現状です。
 今や全ての人々がこの状況に気づき、「愛と平和」を基盤に確かな未来を実現するために一歩を踏み出すことが急務です。同時に、すでに何10年も前から、今の「破壊・破局」の情況に気がつき、地球で生きるあらゆる「いのち」のことと真剣にとり組み、考え、警告している世界中の人々と手を結ばなければいけません。
 斎藤忠光氏は、36才の時にそれまで全く弾くことのできなかったピアノを独りで即興で弾きはじめました。斎藤忠光氏の弾くピアノの音は、斎藤忠光氏の生命の深奥に響き、響きに反応した生命が音を生み、「生命と音」が生き生きと調和しあいながら、生命にエネルギーが生まれるという、経験的練習を何度も何度も繰り返しました。
 元々、斎藤忠光氏の肉体は、人の生命、あるいは自然と同様に反応していました。
 ピアノを弾くことによって、斎藤忠光氏の肉体は、新しい生命を得たように体内に動きが生まれ、人、自然とダイナミックにストレートに交流し、人の生命を助け、一人一人が自分の力で解決、創造しあう力を生み出すように働きはじめました。交流し、新たに生きるエネルギーが生まれ、健康、創造へとむかう「愛」の場を現実のものとしました。
 激変の時代、「地球環境」の問題をはじめ、世界中に問題が山積しています。しかしながら激変の時代は、次の時代をつくる「新しい生命」が生まれている時でもあります。一人一人の生命に育まれているこの「新しい生命」に気がつき、経験することが、幸福を実感できることであり、これからの時代の新しいエネルギーになることと確信いたします。
 今回の企画は、森林破壊を一刻も早く止めることを願い、一人一人の生命に育まれている「新しい生命」の「愛のエネルギー」を全て即興で、斎藤忠光氏のピアノ独奏、及び斎藤忠光氏のピアノ演奏とDarol Anger氏のヴァイオリン演奏、弘前ネプタ太鼓によって行われます。
 準備期間中、当実行委員会は「森林は愛のフィールド」を可能な限り全国、全世界へメッセージとして発信し、更に全国、全世界からメッセージを受信し、新しい時代のエネルギーになる国際的イベントにします。

マサチューセッツ工科大学、ピーター・M・センジ博士からのメッセージ


 6月12日の皆様の大変重要なイベントに向けて、何か考えを分かち合う様御親切なお誘いを頂き有難うございます。皆様の御依頼を光栄に思います。以下のメッセージが適切なものであると良いのですが。
 『人類は今大きな岐路に立っています。動物界の頂点を極めるに至った生き方が人類を奈落の底へ導いています。人類は環境に及ぼす想像もつかぬ程の大きな力を得てきました。しかし乍ら、今日人類史上前例のない程の脅威を形成しているのは正にこの力そのものなのです。現在我々が直面している真実の危機の全ては「複合的な」ものとなっています。即ち、その危機には、単純な原因など一つもなく、責める人間もいなければ、戦うべき悪漢もいないのです。それは、複雑に絡み合った相互依存の関係から生まれた副産物であり、人類がこぞって生みだしたものなのです。有史以来初めて、人類は一つの種として、自らを存続させることも、破壊に追いやることも出来る力を持つに至ったのです。
 もう一つ前向きな方法があります。経験からはほとんどの人が判っていませんが、可能性として多くの人が感じている方法です。それは、全ての生命が相互に依存している現実を深く受けとめる事に根ざす、愛と共感の道です。我々が誰かという事は、全生命を繋いでいる絆から決して切り放せないと知る事、即ち、「全体の卓越性」の再発見に基づく道なのです。この事は、人類の作ったいかなる組織、特に現状の生活に多大な影響を及ぼす、企業、公的教育、そして政府の中に浸透して行かなければなりません。また、この考え方は政策を形成し実行する方法も変えねばなりません。余りにも重要すぎてとても知識人だけに任せておくわけにはいきません。男女を問わず、実社会で活躍する世界中の人々の取り組むべき課題となるべきなのです。』
 皆様のご努力に心から誇りに思います。